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Mystique in Bloom #160: The Princess of Snow and Flowers / 雪花のひめぎみ

 



***

雪のささやきと花の吐息

混じりあい生まれた小さな光

白き肌に淡桃の髪

緑の瞳は森を映す

 

雪は舞い 花は揺れ

そっと紡ぐ優しき魔法

ふたつの世界をつなぐ声

ユキハナは微笑む

***

 

 

むかしむかし、風のそよぐ森の奥深くに、小さな精霊の村がありました。

そこには雪の精霊たちと花の精霊たちが仲良く暮らしていました。

ある冬の朝、雪の精霊の王さまと、花の精霊の女王さまの間に、小さな女の子が生まれました。

彼女の名前はユキハナ。

 

ユキハナは、お父さまのように白く透き通る肌を持ち、お母さまのようにやさしいピンク色の髪をしていました。

瞳は春の芽吹きを映すような淡い緑色で、ふんわりとうねる髪が風に揺れるたび、雪と花の魔法がそっと舞い上がりました。

けれど、ユキハナにはひとつ悩みがありました。

雪の精霊たちと遊べば、体はぽかぽかになりすぎて雪が溶けてしまい、花の精霊たちと遊べば、冷たい風が吹いて花びらが震えてしまうのです。

「わたし、どちらの世界でも迷惑をかけてしまう……。」

悲しくなったユキハナは、そっと森の奥へ歩いていきました。

 

やがてユキハナは、大きな湖にたどり着きました。

湖は鏡のように静かで、ユキハナの姿を映していました。

 

「どうして、わたしは雪と花、両方を持っているの?」

 

湖にたずねるようにささやくと、風がふわりと吹いて、湖面がきらめきました。

そのとき――

湖の中から、小さな光の粒がふわりと浮かび上がりました。

 

「ユキハナ、きみの魔法は特別なんだよ。」

 

それは森の精霊たちの声でした。

 

「きみが笑うと、雪はやさしく舞い、花はそっと芽吹くんだ。」

 

ユキハナがそっと手を伸ばすと、雪の結晶がきらめき、そこに花びらがふんわりと重なりました。

そのとき、ユキハナは気がつきました。

 

「わたしは、雪と花をつなぐ精霊なんだ。」

 

それからユキハナは、自分の力を大切にするようになりました。

冷たい雪の世界にも、あたたかい花の世界にも、やさしく微笑みながら歩いていきました。

そして、彼女が通るところには、雪と花が一緒に舞う、不思議な風景が生まれるようになりました。


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