リアンナ・ソレイユ・フォン・エルドラード
Lianna Soleil von Eldorado
【概要】
大陸中央に栄えた黄金の王国、エルドラード最後の王女。亡国の悲劇を乗り越え、希望の象徴として伝説に名を刻む。後世、「暁の聖女」と神聖視され、その清廉にして慈愛に満ちた生涯は、数多の芸術作品の源泉となった。
【生涯】
太陽暦856年、豊かな魔力の大地に立つ王都ルミナシアに生を受ける。王家に伝わる太陽神の加護を継ぎ、幼少より治癒と活性の微光魔術を操った。才徳兼備の王女は、民から「金襴の姫君」と慕われた。
【亡国と幽閉】
太陽暦872年、北方の夜影帝国が侵攻。その暗黒魔術の前に王都は3ヶ月で陥落し、両親は城内で自刃した。王家の血統を政治利用せんとする帝国の思惑により死を免れたリアンナは、王城の温室を改装した小楼に幽閉される。そこは後に「旧赤薔薇園」と呼ばれた。
【覚醒と復興】
幽囚の日々、深い祈りの中で王家に伝わる“純光の秘術”に覚醒。その光は闇を祓い、人々の心に希望を灯す力であった。太陽暦875年、旧騎士団残党の手引きで小楼を脱し、南方の自由都市連邦へ亡命。復興軍の旗頭となる。
離散した民と諸侯を糾合したリアンナは、自らも神聖魔法を手に戦場に立った。その姿は「最後の太陽」と称され、各地の解放運動を誘発する。太陽暦889年、「白銀平原の戦い」で旧王都奪還を果たすと、帝国の魔獣「夜の巨塊(ナイトゴーレム)」を純光の秘術で封じ、永き戦乱に終止符を打った。
【赤薔薇宮と肖像画】
赤薔薇宮は、エルドラード再興の象徴として、戦火に散った人々の記憶と流された血を決して忘れぬようにとの誓いを込めて、太陽暦889年にルミナシアの中心部に建立された記念聖堂である。
作者不詳の肖像画は、この聖堂の落成式で描かれたとされる。金色のドレスを纏った姿は新たな時代の希望を象徴し、その輝きは太陽神ソラルの加護を宿すとされる。本作品は現在、自由都市連邦王立美術館にて保管・展示されている。
【その後】
戦後、王位を辞退し、新設された「エルドラード自由連邦評議会」の象徴〈暁の守護者〉となる。復興、孤児救済、学問の普及に身を捧げた後、公の場から姿を消した。晩年は聖ソラル修道院で過ごしたとされ、明確な没年は不明。「聖光と共に昇天した」という伝説が残る。
【人物・評価】
慈愛深く、謙虚にして強靭な精神の持ち主。民の声を尊び、敵国の捕虜にさえ癒しを施した逸話が伝わる。そのため、英雄としてよりも「祈りと行動の聖女」として人々の記憶に刻まれている。
【逸話】
・彼女が涙を流した地には、夜も微光を放つ白花「陽光の雫」が咲くと云う。
・幽閉中のリアンナを慰めた小鳥は「暁の使者」と呼ばれ、脱出を導いたと伝えられる。
・王都再建後、その窓辺には毎朝同じ鳥が訪れたと記録されている。




