むかしむかし、霧に包まれた幻想の王国に、青い髪を持つ美しい妖魔の貴族がいました。
彼女の名はルミエル。澄んだブルーの瞳は静かな湖のようで、長い髪は月の光を編んだように輝き、その上には不思議な花々が咲き誇っていました。
ルミエルは花の妖魔の貴族の当主であり、広大な庭園を持ち、その庭はいつも霧に包まれた幻想的な世界でした。
彼女の庭には、世界で最も美しい花々が咲いていました。
黄色い花が広がる果てしない花畑、虹色のつぼみをつける神秘の樹、風が吹くたびに歌う銀の葉。
彼女は花々を愛し、まるで自分の子供のように大切に育てていました。
そのありさまは
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霧は夢を織り 光の糸を編む
ルミエルの髪に揺れる青の花
風がそっと囁けば 花は歌い
静かな湖の瞳に 映る月の雫
***
しかし、その美しさを狙う者がいました。
ある日、遠くの王国から一人の旅人がやってきました。
彼はその国の王に仕える騎士で、王の命令でルミエルの庭から「永遠に枯れない花」を持ち帰るよう言い渡されていました。
旅人は霧の庭に足を踏み入れましたが、すぐに迷ってしまいました。
どこを見ても花々が咲き乱れ、甘い香りが誘うように漂い、足元には柔らかな光の粒が舞っていました。
すると、霧の奥からルミエルが現れました。
「あなたは何を求めてこの庭へいらしたの?」
旅人は正直に答えました。「私は王の命で、枯れぬ花を持ち帰らねばならないのです。」
ルミエルは静かに微笑みました。
「花は奪われるために咲くのではありません。愛され、育てられてこそ、その美しさは永遠になるのです。」
旅人は戸惑いました。
今まで戦いばかりの日々を過ごしてきた彼には、「育てる」ことの意味が分かりませんでした。
しかし、ルミエルは彼を庭の奥へと招き、一緒に花を植えるように言いました。
旅人は初めて土に触れ、種を蒔き、水を与えました。
すると、小さな芽が顔を出し、やがて輝くような金色の花が咲きました。
その瞬間、旅人は気づきました。
美しさとは奪うものではなく、心を込めて育てるものなのだと。
すなわち
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金の蕾は目覚めを待ち
旅人の手のひらに 温かな鼓動
土はやわらかく 心を抱き
種は祈りのように 静かに息をする
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彼は国へ帰ることをやめ、ルミエルの庭に留まりました。
そして彼女とともに花々を育て、霧の庭はますます豊かになっていきました。
こうして、ルミエルの庭はいつまでも美しく咲き誇り、彼女の髪に咲く花々は、誰の手によっても枯れることはありませんでした。
かくて
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奪う手には 花は閉じ
育む指には 光が咲く
霧の庭に降る 静寂の調べ
それは優しく いつまでも続く
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