Mystique in Allure #134: You, Nameless, from the Heart of Shadow / 闇の奥の名もなき君

＊＊＊

夜はやわらかく　落ちてくる

羽のように　香りのように

君はそこにいた

白い肌　紫の瞳　甘やかな毒

触れずに触れて

囁かずに囁いて

ひと息で　わたしを縛った

髪が頬を撫で

血の香が　眠りを溶かす

ああ

君の名を　知らぬまま

君だけを　欲している

美しすぎる

冷たすぎる

やさしすぎる

ああ　なぜ？　なぜ

なぜ　こんなにも

わたしを　見ないで

見て

見ていて

わたしの奥を　引き裂いて

唇で　心を　舐めて

喰らって　残して

甘い声で　赦して

わたしは　わたしじゃない

いや

むしろ　今こそ

君にだけ　君のために

生まれた

愛された

壊された

名前が…なんだったか忘れた

忘れたい

忘れさせてくれ

壊してくれ

骨まで焼いてくれ

君の指で　君の牙で

もう眠れない

いや

夢の中でしか　生きられない

君

（ねぇ、笑ってよ）

そして　落ちた

終わりもはじまりもない場所へ

彼女の世界で

目を開けた

笑っていた

君が

わたしも

壊れたままで

ふたり、きれいだった

＊＊＊

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